『floating view 郊外からうまれるアート』 [編] 佐々木友輔



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“郊外”をこれまでとは違う新たな視点からとらえ表現する試み

今年の2月から3月にかけてトーキョーワンダーサイトで行われた企画展「floating view 郊外からうまれるアート」の展覧会カタログ+論考集が刊行されました。

amazonで8月1日より販売開始、書店に置いていただく準備も進められているとのこと。

若林幹夫、藤原えりみ、藤田直哉、丸田ハジメ、渡邉大輔、柳澤田実、池田剛介、宮台真司、floating view参加作家という豪華な執筆陣で、私も参加させていただきました。詳しい内容はこちらをご覧ください。

『floating view 郊外からうまれるアート』

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アク・ロウヒミエス 『4月の涙』 レビュー

Review

フィンランドの悲劇の歴史を環境哲学の視点から読み直す

現在のフィンランド映画界を代表する監督といわれるアク・ロウヒミエス。『4月の涙』(09)の題材になっているのは、同じ国民が敵味方となって戦ったフィンランド内戦だ。内戦末期の1918年、白衛隊の准士官アーロと捕虜となった赤衛隊の女性兵ミーナが出会い、二人の間で愛と信念がせめぎ合う。

そんな設定から筆者はありがちな男女の悲劇を想像していたのだが、実際に作品を観たらまったく違っていて正直驚いた。この映画では、内戦の物語が、「人間中心主義」と人間の位置を自然のなかに据える「環境哲学」という現代的な視点から読み直されている。

白衛隊に捕えられた女性兵たちは、乱暴され、逃亡兵として処刑されていく。アーロは、そんな指令を無視した処刑に抗議し、かろうじて生き延びたミーナを公正な裁判にかけるため、作家で人文主義者のエーミル判事がいる裁判所に護送しようとする。

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