ウォルフガング・ムルンベルガー 『ミケランジェロの暗号』 レビュー

Review

名画や制服の価値に支えられた世界やシステムに揺さぶりをかける

ナチスに紙幣贋造を強制されたユダヤ人技術者たちの姿を描き、アカデミー賞外国語映画賞を受賞した『ヒトラーの贋札』。あの作品を手がけたプロデューサー、ヨゼフ・アイヒホルツァーが、再びナチスとユダヤ人が駆け引きを繰り広げる物語を作り上げた。

監督はオーストリア映画を代表するウォルフガング・ムルンベルガー、脚本はオーストリア出身で、ユダヤ系のポール・ヘンゲ。主人公ヴィクトルをモーリッツ・ブライブトロイが、その母親をマルト・ケラーが演じている。

物語の鍵を握るのは、ユダヤ人の画商が密かに所有する国宝級のミケランジェロの素描だ。ナチスはイタリアとの同盟を磐石にするためにこの素描を画商から奪う。

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