真利子哲也 『NINIFUNI』 レビュー



Review

不可視のものがどこでもない場所から私たちを見返している

実際の事件に着想を得た真利子哲也監督の中編『NINIFUNI』では、対極の立場や環境にあるような人物が交差する。その空間をどう解釈するかで、作品の印象も変わってくる。

便宜的に田中と名づけられた若者は、もうひとりの仲間と強盗を働く。その後、奪った車でひとり国道を彷徨う。やがて日が落ちると誰もいない浜辺に車を止め、窓に目貼りをし、練炭に火をつける。

その翌朝、ももいろクローバーが、プロモーションビデオの撮影のために浜辺に到着する。スタッフが浜辺を舞台に変え、彼女たちの曲が流れ出す。そして、田中が横たわる車からも、遠くに彼女たちが歌い踊る姿が見える。

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