『カラカラ』 「CDジャーナル」&劇場用パンフレット

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禅の世界に通じる喪失と再生の物語 1/19(土)より公開中

カナダ出身のクロード・ガニオン監督の新作『カラカラ』(12)。前作『KAMATAKI‐窯焚‐』(05)が素晴らしかったので、新作も楽しみにしていましたが、あの“炎”の力強さとはひと味違う、実に味わい深い作品になっています。モントリオール世界映画祭で、世界に開かれた視点賞・観客賞をダブル受賞しています。

カナダから沖縄にやって来た元大学教授ピエール(ガブリエル・アルカン)と夫と大喧嘩して家を飛び出した主婦・純子(工藤夕貴)の出会いから始まる一風変わったロードムービー。軽やかなドラマに見えて、日本語・英語・フランス語、酒器カラカラや芭蕉布、新良幸人の音楽などが織り合わさった世界はけっこう奥が深い。

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スペインの新鋭ロドリゴ・コルテス監督にインタビューする



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まやかしの世界に揺さぶりをかけ、隠れているものを炙り出す

2013年2月15日(金)公開予定の『レッド・ライト』のプロモーションのために来日したロドリゴ・コルテス監督にインタビューしてきた。

彼は1973年、スペインのガリシア生まれ。『レッド・ライト』は、2010年に公開された『[リミット]』につづく監督最新作。キャストは、キリアン・マーフィー、シガーニー・ウィーバー、ロバート・デ・ニーロ、etc。内容は予告編から想像していただければと思う。

『[リミット]』がワン・シチュエーションのスリラーで、新作が超能力となると、『SAW』シリーズや『パラノーマル・アクティビティ』方面のトレンドと結びつけられてしまいそうだが、それは大きな間違いだ。

コルテス監督の世界を明確にするためには、『[リミット]』と『レッド・ライト』を分けて考えたほうがいい。『[リミット]』でもコルテスの感性や表現力は発揮されているが、そこにはクリス・スパーリングの脚本という土台があった。『レッド・ライト』は、コルテスのオリジナル脚本で、脚本自体は『[リミット]』以前に完成していた。

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『The Lady アウンサンスーチー ひき裂かれた愛』 映画.com & 劇場用パンフレット

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ノーベル平和賞受賞 アウンサンスーチー激動の半生 7月21日(土)より全国ロードショー!

リュック・ベッソン監督最新作。アウンサンスーチーを演じるのはミシェル・ヨー。彼女の夫のマイケル・アリス役にデヴィッド・シューリス。

この企画実現の原動力になったのはミシェル・ヨーだ。2007年に作家でもあるレベッカ・フレインの脚本と出会った彼女は、友人のベッソンに企画を持ち込んだ。彼女が当初ベッソンに期待していたのはプロデューサーだったが、脚本を読んだベッソンが監督に名乗りをあげ、映画化が実現した。

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『崖っぷちの男』 劇場用パンフレット

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高所の臨場感と先の読めないサスペンス、7月7日(土)公開

ニューヨークのルーズヴェルト・ホテルにウォーカーと名乗ってチェックインした男が、部屋の窓から壁面の縁に降り立つ。地上60メートル、幅35センチの崖っぷち。男に気づいた通行人は自殺志願者だと思い、マスコミが駆けつけ、警察が道路を封鎖する。しかし男にとって、その場所に立ち、自殺志願者を装うことは周到な計画の一部に過ぎなかった。

“崖っぷちの男”を演じるのは、『アバター』のサム・ワーシントン。彼が指名する交渉人リディアにエリザベス・バンクス。ポール・ハギスの『スリーデイズ』にこの作品と、ここのところ存在感を放つようになってきた。『ハンガー・ゲーム』にも出ているし。『ジェーン・エア』の演技が記憶に新しいジェイミー・ベルが、お色気ムンムンのジェネシス・ロドリゲスとのコンビで、まったく違ったキャラを演じている。エド・バーンズもリディアの同僚役でなかなかいい味を出している。

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『ハングリー・ラビット』劇場用パンフレット

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ニコラス・ケイジ主演のスリラー6月16日(土)よりロードショー!

ロジャー・ドナルドソン監督の新作『ハングリー・ラビット』の劇場用パンフレットにレビューを書いています。

ニコラス・ケイジが演じるのは、愛する妻を傷つけられた悲しみと怒りのために、見知らぬ男サイモンからの“代理殺人”の提案を受け入れてしまう高校教師ウィル。その結果、彼は泥沼にはまり込み、孤立無援の戦いを余儀なくされる。

法の裁きを逃れた犯罪者たちに制裁を加える自警団的な秘密組織を題材にした物語は、治安が悪く、犯罪が多発する地域であればどこでも成り立ちそうだが、この映画は場所にもこだわっている。終盤である事に呆然とする主人公に対して、ある人物が「ここはニューオリンズだから」と語る。

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