『羅針盤は死者の手に』の監督、音楽、衣装、プロデューサーに取材

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普段は楽天的だが、実は緻密な映画作りをしていることを確認

TIFFのコンペ作品『羅針盤は死者の手に』の監督アルトゥーロ・ポンス、音楽のエドガル・バロソ、衣装のアンナ・リベラ、プロデューサーのオスカル・ラミレス・ゴンサレスにインタビューした。紅一点のリベラがスペイン出身で、他の3人はメキシコ出身。ラテン的というか、とにかくノリノリで、一人に質問していても、みんなが次々に答え、通訳さんのメモが整理がつかないくらい長くなる。そして訳しだした通訳さんに声援を送る。

但し、映画の中身に関するコメントはどれも実に興味深かった。衣装から画像の彩度まで、細部から全体の流れまで、驚くほど緻密な作りをしていることがわかった。音楽のバロソが、この映画を10回以上観ているが、いまだに発見があると語っていた。ちなみにこの人、監督と昔からの友だちで、日本ではおそらくほとんど知られていないと思うが、拠点にしているアメリカでは作曲家/演奏者として認知され、いろいろ賞も受賞している。

“Sketches of Briefness” for Ensemble by Edgar Barroso. Performed by ICE (International Contemporary Ensemble). from Edgar Barroso on Vimeo.

“Engrama” for String Quartet by Edgar Barroso / The Diotima Quartet from Edgar Barroso on Vimeo.

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マイケル・ウィンターボトム監督に取材

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新作『トリシュナ』に埋め込まれたサブテーマが見えてきた

新作『トリシュナ』がTIFFコンペ作品になっているマイケル・ウィンターボトム監督にインタビューしてきた。彼にインタビューするのは3度目。最初は『バタフライ・キス』で来日したとき、2度目は『いつまでも二人で』で、このときは電話インタビューだった。いずれにしても10年以上経過している。

ウィンターボトムは早口で、集中してくるとさらに早くなる。コメントの密度も濃いので、その場では把握できなかったことがあとでよみがえり、なるほどと思うことがある。今回もそういうことがあった。

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マイケル・ウィンターボトム 『トリシュナ』 上映

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ナラティブな要素を削ぎ落とし、状況を浮き彫りにする

東京国際映画祭のコンペ作品の1本、マイケル・ウィンターボトム監督の『トリシュナ』を会場で観た。原作はトマス・ハーディの『テス』。ウィンターボトムにとってハーディの小説の映画化は、『日陰のふたり』、『めぐり逢う大地』につづいて3度目ということになる。但し、最初からハーディの小説の映画化を目指していた作品ばかりではない。

『めぐり逢う大地』の場合は、アメリカになる前のアメリカを題材にした作品の構想を練っているうちに、それがハーディの世界に重なり、映画化ということになった(マイケル・ウィンターボトム・インタビュー参照)。この新作も、舞台を現代のインドに移しての映画化なので、その可能性もある。

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ペンエーグ・ラッタナルアーン監督に取材



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因果応報や贖罪をテーマにした異色のフィルム・ノワール

東京国際映画祭のコンペ作品『ヘッドショット』のペンエーグ・ラッタナルアーン監督にインタビューしてきました。今回はオリジナル脚本ではなく、Win Lyovarinの小説“Rain Falling Up the Sky”の映画化。原作や原作者(監督の友人だそうだ)のこと、『シックスティナイン』や『わすれな歌』の時期、『地球で最後のふたり』や『インビジブル・ウェーブ』の時期からのスタイルの変化、カルマや贖罪というテーマなど、いろいろお聞きしてきました。

オフィシャル・インタビューなのでTIFFのサイトでご覧になれます。現在と過去が複雑に入り組むフィルム・ノワール。インタビューは以下のリンクからどうぞ。

【公式インタビュー】コンペティション 『ヘッドショット』

↓こちらは『ヘッドショット』のスタッフ、キャストの記者会見の模様。

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80年代イギリス映画を振り返る その一

トピックス

先月のこと、11月刊行予定の『80年代アメリカ映画100』(芸術新聞社)の原稿絡みで資料をひっくり返しているときに、行方不明になっていたアレックス・コックスの『レポマン』のパンフが出てきた。

そこに書いた原稿はまだHPにアップしていなかった。『レポマン』の作品評とかではなく、80年代中頃のイギリス映画の状況。いずれ整理してHPにアップするつもりだが、ひとまずブログで公開。いろいろ甦ってくるものがある。懐かしい。

イギリス映画界期待の新星

■■転換期にあるイギリス映画界■■

イギリス映画界は、長年にわたって衰退の一途をたどっている。映画館は年々減少し、イギリス映画自体も次々と流れ込むアメリカ映画の攻勢に押しまくられているためにその製作もままならず、そればかりか、アメリカ資本による支配が着実に浸透し、イギリス映画関係者がアメリカ映画のクルーとして活躍するというのも珍しいことではないというのが、昨今のイギリス映画界の実情である。

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