Rudresh Mahanthappaが切り拓くハイブリッドな世界

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文化的、伝統的、地理的な境界を揺さぶり、広がるネットワーク

読むのを楽しみにしていながらそのままになっていたall about jazz.comのルドレシュ・マハンサッパ(Rudresh Mahanthappa)のインタビューを原稿書きの合間にやっとチェック。このサイトのインタビューは基本的にボリュームがあるが、特にマハンサッパの場合は質問もたくさんあったはず。この数年、実に多様なコラボレーションを繰り広げているからだ。

それは彼がインド系であることと無関係ではない。マイナーなレーベルからアルバム・デビューした頃には、インドというレッテルを貼られ、ラヴィ・シャンカールをゲストに…みたいなアドバイスをされることもあったらしい。もちろん、彼が求めていたのはそんな音楽ではなかった。

39歳のマハンサッパと75歳のバンキー・グリーンというまったく世代の異なるアルトサックス奏者がコラボレーションを繰り広げる『Apex』(2010)は、その当時、彼がどんな音楽を求めていたのかを示唆する。

バンキー・グリーンのことは、ノース・テキサスからバークリーに出てきて音楽を学んでいるときに、サックスの講師ジョー・ヴィオラから教えられた。グリーンのアルバム『Places We’ve Never Been』を聴いてぶっ飛んだ彼は、デモテープを送り、助言を求めた。それが関係の始まりだ。

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『tirtha』 by vijay iyer with prasanna & nitin mitta

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ジャズ・ピアニスト、アイヤーがインド音楽に接近したわけは?

遅ればせながら、ヴィジェイ・アイヤー(Vijay Iyer)の『tirtha』(2011)である。前から聴いてはいたが、まだ取り上げていなかった。アイヤーのディスコグラフィのなかではかなり異色の作品といっていいだろう。

いまのニューヨークのジャズ界で目立つのが、アイヤーやRudresh Mahanthappa、Rez Abbasiといったインド亜大陸にルーツを持つミュージシャンたちだ。但し、アイヤーとMahanthappaやAbbasiでは、音楽の方向性が少し異なるように見える。

tirtha (2011)

Mahanthappaは、南インドの古典音楽にサックスを導入して独自の世界を確立したKadri Gopalnathに大きな影響を受け、このインドの巨匠とコラボレーションを展開する『Kinsmen』(08)や、パキスタンのカラチ生まれのAbbasiとタブラ奏者Dan WeissをメンバーとするIndo-Pak Coalition名義の『Apti』(08)で、インド音楽へと接近した。

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