『アリラン』 『SHAME―シェイム―』 試写

試写室日記

本日は試写を2本。

『アリラン』 キム・ギドク

キム・ギドクはなぜ『悲夢』以後、沈黙してしまったのか。その理由はこの『アリラン』で明らかになる。『悲夢』の撮影中に女優が危うく命を落としかける事故が発生した。その事故で衝撃を受けたことをきっかけに、国際的な名声と国内での低い評価のギャップ、彼のもとを去った映画仲間の裏切りなどが重くのしかかり、作品が撮れなくなった。この映画では、そんなギドクが徹底的に自分(第二のギドク、第三のギドク)と向き合う。

ギドクは大好きな監督であり、これまで観た作品のなかでいいと思えなかったのは『悲夢』だけだが、この『アリラン』はしんどかった。ギドクのすごさは、言葉に頼ることなく、外部と内部、見えるものと見えないもの、向こうとこちらといった境界や象徴的な表現を駆使して、独自の空間を構築し、贖罪や浄化、喪失の痛みや解放などを描き出してきたところにある。

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