『Bon Iver, Bon Iver』 by Bon Iver

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場所に対する感覚、個人的な体験、音楽的な記憶が混ざり合うサウンドスケープ

Bon IverことJustin Vernonは、場所に対する独特の感覚を培い、サウンドスケープを作り上げている。彼に大きな成功をもたらした『For Emma, Forever Ago』(08)は、雪に閉ざされた森で生まれた。

バンドの分裂や彼女との破局、体調不良などの重荷を背負ったVernonは、2006年の冬に父親が所有するウィスコンシンの山小屋にひとりでこもった。ギターやドラム、ホーン、マイクを持ち込んでいた彼は、そこで自己の音楽的世界を見出した。

以前ブログで取り上げたArboreaは、夫婦のユニットで、メイン州の自然のなかに暮らし、自然にインスパイアされて独自の世界を切り拓いているが、彼らはあるインタビューで冬が最も刺激をもたらすと語っていた。厳しい寒さのなかで孤立すること、計り知れない孤独が刺激になるというのだ。

『For Emma, Forever Ago』 (2008)

もちろん、冬の森で計り知れない孤独を味わうことが、必ずインスピレーションをもたらすわけではない。ウィスコンシンの自然のなかで育ったVernonは、山々や湖によって感性を培われた。2006年の冬に山小屋にこもったときには、2頭の鹿を仕留め、食料にしていたという。


Written by Justin Vernon with Andre Durand and Dan Huiting
Directed by Andre Durand and Dan Huiting
Produced by Daniel Cummings and Picture Machine Productions
Filmed in April 2011 in Fall Creek, WI


『For Emma, Forever Ago』には、そんな場所や環境でなければ生み出せない世界が刻み込まれている。それでは、新作『Bon Iver, Bon Iver』(11)で、山小屋を出たVernonは新たにどのような場所を見出すのか。あるいは今度は、場所とは無関係な音楽を紡ぎ出すのか。

『Bon Iver, Bon Iver』 (2011)

このアルバムは、<Perth>というタイトルの曲から始まる。Vernonは2009年のはじめにツアーでオーストラリアのPerthを訪れている。その他の曲のタイトルも、<Minnesota WI>、<Hinnom TX>、<Calgary>、<Lisbon OH>など、北米大陸の地名が目立つ。

但し、特定の場所にインスパイアされていても、場所そのものを表現しているわけではない。場所に対する独自の感覚と個人的な体験、音楽的な記憶(たとえば彼の父親は、ジョン・プライン、ジャクソン・ブラウン、ニール・ヤング、チャールズ・ミンガス、トム・ウェイツなど様々な音楽を聴いていて、Vernonに影響を及ぼしている)などが、その詩的な空間のなかで混ざり合っている。

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Bon Iver
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Bon Iver – Bon Iver
For Emma, Forever Ago – Bon Iver
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Monster (feat. Jay-Z, Bon Iver, Rick Ross & Nicki Minaj) – Single – Kanye West
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