1979年の南ア、“木鍵”で脱獄した政治犯の実話を映画化した『プリズン・エスケープ 脱出への10の鍵』の劇場用パンフレットに寄稿しています

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“抵抗”としての脱獄を浮き彫りにするポリティカル・スリラー

アパルトヘイト時代の南アで、白人でありながらアフリカ民族会議のメンバーとして反アパルトヘイト運動に身を投じ、政治犯として難攻不落のプレトリア刑務所に収監されたティムが、同胞のスティーブンとともに、“木鍵”を使った前代未聞の脱獄計画に挑む。

ティム・ジェンキンが自らの体験を綴った『脱獄 (四日市大学教育研究叢書)』(同時代社刊)に基づくフランシス・アナン監督の『プリズン・エスケープ 脱出への10の鍵』(20)の劇場用パンフレットに、「“抵抗”としての脱獄を浮き彫りにするポリティカル・スリラー」というタイトルでレビューを書いています。

ティムの原作を映画化するうえで、アナン監督にインスピレーションをもたらしているのが、ロベール・ブレッソンの『抵抗(レジスタンス)―死刑囚の手記より―』であることは容易に察せられるので、二作品を対比し、そんなアプローチによって原作からどんな世界を切り拓こうとしたのかを、監督が温めている企画なども参考にして掘り下げています。

2020年9月18日(金)よりシネマート新宿、ユナイテッド・シネマ豊洲ほか全国順次公開

『行き止まりの世界に生まれて』|ニューズウィーク日本版のコラム「映画の境界線」記事

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荒廃するラストベルト、悲惨な過去を乗り越えようとする若者の葛藤、『行き止まりの世界に生まれて』

ニューズウィーク日本版のコラム「映画の境界線」の2020年9月3日更新記事で、アメリカの新鋭ビン・リューの長編デビュー作となるドキュメンタリー『行き止まりの世界に生まれて』(18)を取り上げました。

産業が衰退したラストベルトにある街ロックフォードを舞台に、もがきながら成長する3人の若者を描いています。一見すると、子供の頃からそれぞれに父親や継父に暴力を振るわれてきた3人が、スケートボードにのめり込み、そのなかのひとり、ビンがビデオグラファーになり、仲間を撮るうちにドキュメンタリーに発展し、本作が誕生したかのように見えますが、実は作品の出発点は別のところにあり、非常に複雑なプロセスを経て完成にこぎ着け、結果としてドキュメンタリーの枠を超えたドキュメンタリーになっています。その隠れた出発点やプロセスがわかると、作品の印象も変わるのではないかと思います。

コラムをお読みになりたい方は以下のリンクからどうぞ。

荒廃するラストベルト、悲惨な過去を乗り越えようとする若者の葛藤、『行き止まりの世界に生まれて』

2020年9月4日(金)新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開