杉江松恋さんによる読み応えのある新書版『サバービアの憂鬱』レビューがカドブン(WEB)に掲載されました



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以前の記事「『サバービアの憂鬱』と杉江さんや川出さんの『サバービアとミステリ』とジョン・カッツのサバービア探偵シリーズのこと」で触れたように、杉江松恋さんは、旧版『サバービアの憂鬱』を参考書にして、川出正樹さん、霜月蒼さん、米光一成さんとの対談形式で電子書籍『サバービアとミステリ』をまとめられたりして、本書をしっかり読み込んでいただいているので、この新書版レビューでも、サバービア(郊外住宅地と文化)をめぐる全体的、歴史的なビジョンと、スピルバーグの『激突!』やレッドフォードの『普通の人々』、ビル・オウエンズの写真集『Suburbia』、ジョン・チーヴァーやアップダイク、スティーヴン・キングやフィリップ・K・ディックといった構成要素の双方に目配りしていただき、読み応えのある内容になっています。
そして個人的になによりも嬉しかったのが、「ページを追ううちに点と点が結ばれて線になり、さらに面を形成していく。この読み心地にはたまらない快感がある」というお言葉。旧版執筆時には、章と章が様々なかたちで密接に結びついていく構成にしようと何度も変更を加え、時間を割いたので、そのように感じていただけるのは最高の喜びです。

大場正明『サバービアの憂鬱 「郊外」の誕生とその爆発的発展の過程』レビュー【評者:杉江松恋】|カドブン

大場正明『サバービアの憂鬱』復刊決定のお知らせ 3月10日発売予定



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『サバービアの憂鬱』の復刊が決定しました。角川新書の1冊になり、3月10日発売予定です。副題が「アメリカン・ファミリーの光と影」から「『郊外』の誕生とその爆発的発展の過程」にかわり、加筆修正しています。

本書を執筆したときには、どう構成するかにとても苦労しました。手本になるような文献があまりなく、ゼロから組み立てなければならなかったということもありますが、逆にいえば、枠組みに縛られることなく大胆なこともできるように思え、サバービア(郊外住宅地)をめぐる現実とフィクションを往復するように多様な視点を盛り込み、結びつけていく作業にかなり時間を費やし、納得のいく構成にはなったものの、文章を整える時間があまりなく、勢いでまとめてしまったところがありました。

本書が絶版になったあと、本文テキストをWEBで公開するときに、ある程度、加筆修正をしましたが、やはり復刊のために、本のかたちを思い描きながら、ゲラに赤を入れていく作業は全然違いますので、今回は細かいところまでいろいろ加筆修正しました。本書で取り上げた小説で、出版後に翻訳が出たものについては、引用を差し替えるなどアップデートしました。新書版あとがきでは、本書出版後に公開されたサバービア映画から、本書の内容とつながりのあるものをピックアップし、出版以後についてもいくらかフォローしました。

ずいぶん遠回りしましたが、構成と文章がそろい、やっと本が完成した、という気がしています。

速水健朗氏からいただいたオビの推薦コメント、胸にきました。この新書版は560ページで、新書としてはかなりのボリュームになります。

Amazonで旧版の古書を調べると、出品された16冊中15冊が1万2千円以上で最高が2万5千円になっているようです。筆者がよく利用する横浜市立の図書館には少なくとも2冊置かれていたはずなのですが、検索しても1冊もヒットしなくなりました。復刊によってレア本から普通に手に入れられる本に戻るのがとても嬉しいです。

どんな本なのかもう少し詳しくお知りになりたい方は、HPでサンプルとして序章と第1章のテキストの公開を継続していますので、目を通してみてください。但し、新書版は加筆修正していますので、まったく同じではないことをご了承ください。

『サバービアの憂鬱』イントロダクション

『70年代アメリカ映画100』ついに完成!



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失意の闇に隆起した映画史最大の革命期

遅ればせながら告知を。「アメリカ映画100」シリーズの新刊『70年代アメリカ映画100』(芸術新聞社)が出ました。

コラムと対談の執筆者は以下の方々です。アレックス・コックス、町山智浩、粉川哲夫、生井英考、川本三郎、滝本誠、高崎俊夫、大森さわこ、河原晶子、鈴木慶一、北沢夏音。

編集は渡部幻[主編]、佐野亨[編]のおふたり。私は今回は編集に関わってないので本の方向性などについて語る立場にはありませんが、文字量ということではシリーズのなかで一番たくさん書かせていただきました。

70american.film

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「キネマ旬報」の『90年代アメリカ映画100』書評



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「あまりにも近すぎあまりにも遠いディケードの貌」

「キネマ旬報」2012年6月下旬号(6月5日発売)に、上記タイトルで『90年代アメリカ映画100』の書評が掲載されています。評者は大久保清朗さんです。

“90年代”という時代に対する考察からはじまり、本書の全体から細部までを見通しつつ、方向性や特徴をおさえていただきました。生井英考さんや町山智浩さんのコラムに加え、筆者や大森さわこさんのカタログ原稿にも言及されています。

本書のご購入を検討されている方はぜひご一読を!

『90年代アメリカ映画100』

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『アジア映画の森――新世紀の映画地図』に寄稿しています

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進化しつづけるアジア映画を網羅した決定版ガイドブック登場!

東は韓国から西はトルコまで、アートからエンターテインメントまで、アジア映画を国別の概論、作家論、コラムなどで網羅したガイドブック『アジア映画の森』が出ました(2012年5月31日発売)。

表紙は、アピチャッポン・ウィーラセタクン監督の『ブンミおじさんの森』。いいですねー(筆者が劇場用パンフレットに書いた『ブンミおじさんの森』レビューもぜひお読みください)。

執筆者は以下の方々です。麻田豊/アン・ニ/石坂健治/市山尚三/稲見公仁子/井上徹/宇田川幸洋/浦川留/大場正明/岡本敦史/金子遊/金原由佳/葛生賢/斉藤綾子/佐野亨/白田麻子/杉原賢彦/鈴木並木/諏訪敦彦/夏目深雪/野崎歓/野中恵子/萩野亮/梁木靖弘/クリス・フジワラ/古内一絵/古川徹/松岡環/松下由美/門間貴志/四方田犬彦(敬称略)。

『アジア映画の森――新世紀の映画地図』(作品社、368ページ)

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