今週末公開オススメ映画リスト2011/03/17+α

週刊オススメ映画リスト

今回は『トゥルー・グリット』、『お家をさがそう』の2本です。おまけとして『ザ・ライト―エクソシストの真実―』の短いコメントをつけました。

『トゥルー・グリット』 ジョエル&イーサン・コーエン

マティ、コグバーン、ラビーフの3人が川という境界を越えて分け入る世界は、先住民たちの土地、犯罪者たちが逃げ込む無法地帯であるだけではない。

コーエン兄弟らしさが最もよく出ているのが、ラビーフと別れたマティとコグバーンの前に、奇妙な光景や人物が出現するところだろう。まず、かなり高い木の枝に男の死体が吊るされている。コグバーンが銃でロープを切ることはたやすいはずだが、マティがわざわざ木にのぼっていき、ナイフでロープを切る。

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3/19 『僕の心の奥の文法』特別上映会が中止に



News

この度の大地震の被害に遭われた皆様、関係者の方々に心よりお見舞い申し上げます。

3月19日(土)に予定されていたニル・ベルグマン監督の『僕の心の奥の文法』(第23回東京国際映画祭サクラ グランプリ受賞作品)の上映会に、トークのゲストとして参加させていただくことになっておりましたが、大地震の影響により中止が決定いたしました。いずれまた上映される機会が訪れることを期待したいと思います。

今週末公開オススメ映画リスト2011/03/10+α

週刊オススメ映画リスト

今回は『ランナウェイズ』の1本です。おまけとして『台北の朝、僕は恋をする』の短いコメントをつけました。

『ランナウェイズ』 フローリア・シジスモンディ

70年代に一世を風靡し、来日もしたガールズバンド“ランナウェイズ”を題材にした作品。バンドのヴォーカルだったシェリー・カーリーの自伝『Neon Angel : The Cherie Currie Story』が原作。詳しいことは『ランナウェイズ』レビューをお読みください。

以下はおまけのコメントです。

『台北の朝、僕は恋をする』 アーヴィン・チェン

アメリカで生まれ育った(北カリフォルニアの郊外育ちとのこと)中国系の監督アーヴィン・チェンが、台北の街をどう描くのかがひとつの見所だろう。

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フローリア・シジスモンディ 『ランナウェイズ』レビュー

Review

壊れた家族とバンドという擬似家族の狭間で――もうひとつの『ブギーナイツ』

70年代に一世を風靡したガールズバンド“ランナウェイズ”を題材にしたこの映画で、まず注目すべきなのはサンフェルナンド・ヴァレーという舞台だろう。ロサンゼルスの郊外に広がるこの地域は、サバービアというテーマとも結びつきながら、映像作家の想像力を刺激し、アメリカのひとつの象徴として描かれてきた。

スティーヴン・スピルバーグは、『E.T.』をここで撮影した。ティム・バートンは『シザーハンズ』のプレスで「この映画は、ぼくの育った映画の都バーバンクの想い出がいっぱいつまっている」と語っているが、そのバーバンクもこの地域の縁にある。

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『キラー・インサイド・ミー』試写



試写室日記

本日は試写を1本。

『キラー・インサイド・ミー』 マイケル・ウィンターボトム

ウィンターボトムなのでジム・トンプスンの世界をどう映像に翻訳してみせるのか楽しみにしていたが、この監督ならではの世界を感じ取ることができなかった。これまでのなかでそういう作品は、『24アワー・パーティ・ピープル』だけだったのだが…。

かつてウィンターボトムはジョン・アーヴィングの『サイダーハウス・ルール』の映画化を進めながら、途中で自ら監督を降りたことがある。筆者が彼にインタビューしたとき、その事情をこのように説明していた。

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