『キラー・インサイド・ミー』試写



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試写室日記

本日は試写を1本。

『キラー・インサイド・ミー』 マイケル・ウィンターボトム

ウィンターボトムなのでジム・トンプスンの世界をどう映像に翻訳してみせるのか楽しみにしていたが、この監督ならではの世界を感じ取ることができなかった。これまでのなかでそういう作品は、『24アワー・パーティ・ピープル』だけだったのだが…。

かつてウィンターボトムはジョン・アーヴィングの『サイダーハウス・ルール』の映画化を進めながら、途中で自ら監督を降りたことがある。筆者が彼にインタビューしたとき、その事情をこのように説明していた。

「来年撮影に入るつもりでジョン(・アーヴィング)自身に脚本を書いてもらったんだが、原作を越えるものではなかった。原作が大好きなのでそれを越える脚本なら映画化したけど、納得がいかなかったので自分から断った。おかげで(配給の)ミラマックスに違約金を取られて頭にきているけど、イヤなものはイヤなんだ」

そんな姿勢はいまも変わっていないのか、それとも変わってしまったのか。ジョン・カランが手がけた『キラー・インサイド・ミー』の脚本には、映画から想像できるかぎりでは、原作を越えようとするような斬新なアプローチや野心のようなものは見られない。