Shearwaterの新作『Animal Joy』が2月にリリース

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新天地Sub Popから新作を出すメイバーグはどこに向かうのか

シアウォーター(Shearwater)は、1999年にテキサス州オースティンで結成されたインディ・ロック・バンド。そのフロントマンであるジョナサン・メイバーグ(Jonathan Meiburg)の経歴はかなりかわっている。

大学を卒業したメイバーグは、目的地や研究対象がかなり自由に選べる“Watson Fellowship”というユニークな奨学金を得て、まず南米大陸南端に位置する諸島ティエラ・デル・フエゴに向かい、そこからフォークランド諸島を訪れた。アメリカ南西部を出たこともなかった彼は、地の果てで生きる人々、そのコミュニティと場所の繋がりに強い関心を持っていた。

そんな彼はフォークランド諸島でイギリス人の鳥類学者ロビン・ウッズに出会う。そのウッズがアシスタントを求めていたことから名乗りをあげ、鳥類の研究に踏み出していく。様々な鳥類が生息する諸島で、彼が特に惹かれたのが、かつてダーウィンも興味を覚えていたというStriated Caracara(別名:Johnny Rook)だった。そして帰国後、テキサス大学の大学院に進み、生物地理学を専攻した彼は、そのStriated Caracaraをテーマにした論文を発表した。

この経験は、シアウォーターのフロントマンとしての音楽活動とも深く結びついている。バンドの名前であるShearwaterはミズナギドリを意味する。彼らのアルバムのジャケットにはしばしば鳥が使われている。もちろん歌詞も、ナチュラリストの視点で、鳥を中心にした生き物、地の果ての島、自然、環境の変化、人間との関係などが表現されている。


メイバーグは、彼が最も関心を持った鳥をタイトルにした『Rook』(2008)をリリースする前に、十年ぶりにかつて研究に専念したフォークランド諸島を訪れ、Johnny Rookに再会した。

シアウォーターの『Palo Santo』(2006)、『Rook』(2008)、そして鳥というよりは島をテーマにした『The Golden Archipelago』(2010)という“Island Arc”三部作が完結したことで、メイバーグの冒険には一区切りがつけられた。そして、昨年の1月には、オースティンの教会で三部作を総括するようなライブが行われた。

シアウォーターは『The Golden Archipelago』を最後にMatadorを離れ、Sub Popと契約を結び、来月(2月)半ばに新作の『Animal Joy』(2012)をリリースする。先にリリースされた曲を聴くと、これまでの壮大なヴィジョンに基づく音楽空間とは一線を画すダイレクトでパーソナルなサウンドになっているようだ。メイバーグが三部作のあとにどんな世界を切り拓こうとしているのか気になる。

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