『行き止まりの世界に生まれて』|ニューズウィーク日本版のコラム「映画の境界線」記事

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荒廃するラストベルト、悲惨な過去を乗り越えようとする若者の葛藤、『行き止まりの世界に生まれて』

ニューズウィーク日本版のコラム「映画の境界線」の2020年9月3日更新記事で、アメリカの新鋭ビン・リューの長編デビュー作となるドキュメンタリー『行き止まりの世界に生まれて』(18)を取り上げました。

産業が衰退したラストベルトにある街ロックフォードを舞台に、もがきながら成長する3人の若者を描いています。一見すると、子供の頃からそれぞれに父親や継父に暴力を振るわれてきた3人が、スケートボードにのめり込み、そのなかのひとり、ビンがビデオグラファーになり、仲間を撮るうちにドキュメンタリーに発展し、本作が誕生したかのように見えますが、実は作品の出発点は別のところにあり、非常に複雑なプロセスを経て完成にこぎ着け、結果としてドキュメンタリーの枠を超えたドキュメンタリーになっています。その隠れた出発点やプロセスがわかると、作品の印象も変わるのではないかと思います。

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荒廃するラストベルト、悲惨な過去を乗り越えようとする若者の葛藤、『行き止まりの世界に生まれて』

2020年9月4日(金)新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開

『ランブル 音楽界を揺るがしたインディアンたち』|ニューズウィーク日本版のコラム「映画の境界線」記事

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アメリカ音楽に深く影響を及ぼしていたインディアンの文化『ランブル』

ニューズウィーク日本版のコラム「映画の境界線」の2020年8月6日更新記事で、キャサリン・ベインブリッジ監督の『ランブル 音楽界を揺るがしたインディアンたち』(17)を取り上げました。

弾圧されてきたインディアンの文化がアメリカのポピュラー音楽にどのような影響を及ぼしてきたのかを、証言や記録映像で掘り下げていく興味深いドキュメンタリーです。リンク・レイ、チャーリー・パットン、ミルドレッド・ベイリー、バフィ・セイント・マリー、ジミ・ヘンドリックス、ロビー・ロバートソン、ジェシ・エド・デイヴィス、ランディ・カスティーヨなど、インディアンの血を引くミュージシャンたちに光があてられますが、彼らの音楽や物語を羅列したけの作品ではなく、激しい弾圧のなかで、インディアンの文化がどのように受け継がれ、剥奪を免れたのかがしっかりと掘り下げられているところが素晴らしいです。記事では、奴隷制、プランテーション、黒人の歴史や文化との関わりをめぐる独自の視点に特に注目しています。

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アメリカ音楽に深く影響を及ぼしていたインディアンの文化『ランブル』

2020年8月7日(金)より渋谷ホワイト シネクイントにて公開

『ハニーランド 永遠の谷』|ニューズウィーク日本版のコラム「映画の境界線」記事



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北マケドニアの自然養蜂家の女性を追うドキュメンタリー『ハニーランド 永遠の谷』

ニューズウィーク日本版のコラム「映画の境界線」の2020年6月25日更新記事で、北マケドニアで作られたリューボ・ステファノフとタマラ・コテフスカ共同監督のドキュメンタリー『ハニーランド 永遠の谷』(19)を取り上げました。

電気も水道もなく、他の住人も去って廃墟と化した山岳地帯の村で、病気で寝たきりとなった母親と暮らし、代々受け継がれてきた自然養蜂を営む女性ハティツェ。そこに現われる遊牧民の一家。筋書きのないドラマというドキュメンタリーの醍醐味、監督コンビのアプローチが切り拓くリアリズムとは異質な空間。想像力をかきたてるドキュメンタリーです。

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北マケドニアの自然養蜂家の女性を追うドキュメンタリー『ハニーランド 永遠の谷』

2020年6月26日(金)アップリンク渋谷・アップリンク吉祥寺ほか全国順次公開

再上映が始まった『ようこそ、革命シネマへ』の劇場用パンフレットに寄稿しています



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映画と政治、世代を超えた共感と歴史の重み

ベルリン国際映画祭 パノラマ部門でドキュメンタリー賞と観客賞を受賞したスハイブ・ガスメルバリ監督の長編デビュー作『ようこそ、革命シネマへ』(19)。6月に入って再上映が始まりつつある本作の劇場用パンフレットに、「映画と政治、世代を超えた共感と歴史の重み」というタイトルでレビューを書いています。

スーダンの映画産業が崩壊した世界で、小さな上映会を開き、廃墟となった映画館を復活させるために尽力する4人のベテラン映画製作者たちを追ったドキュメンタリー。9歳のときに独裁政権によって映画を奪われたガスメルバリ監督の軌跡も踏まえて作品を掘り下げる内容になっています。

▼ ガスメルバリがTVのためにつくった短編「Sudan’s Forgotten Films」(英語)も参考になると思います。

▼ 『ようこそ、革命シネマへ』予告

ユーロスペースでは6月1日(月)~再上映

『美術館を手玉にとった男』 記事



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30年間贋作を制作し、資産家や神父を装って美術館に寄贈し続けた男

ニューズウィーク日本版のコラム「映画の境界線」の第8回(10月30日更新)で、サム・カルマン&ジェニファー・グラウスマン監督のドキュメンタリー『美術館を手玉にとった男』(14)を取り上げました。スティーヴン・スピルバーグの『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』(02)と対比しつつ作品の魅力に迫るような内容になっています。

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30年間贋作を制作し、資産家や神父を装って美術館に寄贈し続けた男|『美術館を手玉にとった男』