ニコラウス・ゲイハルター 『眠れぬ夜の仕事図鑑』 レビュー



Review

私たちは豊かで自由なのか、それとも生の奴隷として管理されているのか

ドキュメンタリー作家ニコラウス・ゲイハルターは、普段目にすることのない領域に光をあてることによって、私たちが生きているのがどんな世界なのかを浮き彫りにしてみせる。

『いのちの食べかた』で工業化された食糧生産の実態に迫った彼が、新作で注目するのは“夜に活動する人々”だ。ヨーロッパ十カ国を巡り、切り取られた夜の風景には、例によってナレーションや説明はなく、私たちの想像力を刺激する。

この映画でまず印象に残るのは、治安に関わる職業だ。冒頭と終盤には国境警備の模様が配置され、街中の監視や警察官の訓練の現場、さらにはロマ(ジプシー)の強制立ち退きや難民申請を却下された外国人の強制送還の執行にも目が向けられる。

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