『kuniko plays reich』 by Kuniko Kato
ライヒと加藤訓子の相性について――ライヒを聴き比べてみる
国際的な舞台で活躍するパーカッショニスト、加藤訓子のニューアルバム『kuniko plays reich』は、タイトルが物語るように、ミニマル・ミュージックを代表するアメリカの作曲家スティーヴ・ライヒの楽曲集だ。
アルバムに収められているのは3作品。そのうち、もともとギタリストのパット・メセニーを想定して作曲された<Electric Counterpoint>と、フルーティストのランサム・ウィルソンを想定した<Vermont Counterpoint>は、パーカッション向けにアレンジされている。
ライヒ監修というお墨付きの作品だが、このふたりの音楽性は、とても相性がいいのではないか。ライヒは小さい頃に最初にピアノを習い、それからドラムに興味が移り、それがアフリカの打楽器やガムランへとつながっていった。
加藤訓子も最初にピアノを習い、アフリカに起源を持つマリンバの魅力に目覚め、ドラム缶を楽器として再利用するような独自の世界を切り拓いてきた。
ところで、ライヒの楽曲は様々なアーティストによってコンスタントに取り上げられているが、特にこの数年、その傾向が目立っていたような印象がある。
<Electric Counterpoint>だけに限っても、たとえば、カナダのギター・アンサンブルであるForestareの『Forestare』(2007)とか、Powerplantの『Electric Counterpoint』(2008)とか、スペインのギタリスト、Jose Luis Bieitoの『Reflections』(2009)とか、Andrew McKenna Leeの『Solar/Electric』(2009)などが思い出される。
そうした作品群のなかに、『kuniko plays reich』と対比してみると面白いアルバムがある。ひとつは、ブルガリア出身のパーカッショニスト、Svet Stoyanovの『Percussive Counterpoint』(2008)だ。このアルバムでは、マリンバで<Electric Counterpoint>をやっている。ちなみに、加藤訓子は、スティールパン、マリンバ、ヴィブラフォンを組み合わせている。
そしてもうひとつが、マリンバとコンピュータを組み合わせたりするNathaniel Bartlettの『Precipice』(2006)。このアルバムでは、マリンバで<Vermont Counterpoint>をやっている。ちなみに、加藤訓子のヴァージョンはヴィブラフォンだ。
聴き比べると、楽曲に対するアプローチの違い、ライヒとの相性の違いがみえてくる(かも)。
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Kuniko Kato
Kuniko Plays Reich – Kuniko Kato
Sound Space Experiment – Steel Drum Works Selection – Kuniko Kato
Reich: Drumming – Ictus, Synergy Vocals, Miquel Bernat, Heather Cirncross, Gery Cambier, Micaela Haslam, Shinsuke Ishihara, Kuniko Kato, Gerrit Nulens, Georges-Elie Octors, Audrey Ribaucourt, Jessica Ryckewaert & Peter Van Tichelen
Wood: Two Men Meet – Critical Band, James Wood, Kuniko Kato, New London Chamber Choir & Steven Schick
Electric Counterpoint – Powerplant
Reflections – José Luis Bieito
Percussive Counterpoint – Svet Stoyanov
Nathaniel Bartlett: Precipice – Modern Marimba – Nathaniel Bartlett