『ラブ・アゲイン』 『50/50』試写

試写室日記

本日は試写を2本。

『ラブ・アゲイン』 グレン・フィカーラ、ジョン・レクア

スティーブ・カレル、ライアン・ゴズリング、ジュリアン・ムーア、エマ・ストーン、ジョン・キャロル・リンチ、マリサ・トメイ、ケビン・ベーコンというなんとも贅沢なキャスト。

スタイルとしては“足し算”のコメディといえる。25年連れ添った妻からいきなり離婚を切り出され、一人暮らしを始めた主人公キャルが、バーで出会ったプレイボーイのジェイコブからレクチャーを受け、自信を取り戻そうとする。というのが軸になる物語だが、そこに他の登場人物が絡む様々な伏線が加算されていき、終盤で全員が意外なかたちで勢揃いする。


この手のコメディは構成や図式が優先されるので、キャラクターに奥行きを求めることはつつしむべきなのだろうが、このキャストだとついついそういう気持ちになる。但し、図式的とはいえ、というか図式的だからこそ、演技派の別の一面が見られる。

『ブルーバレンタイン』で演技力を見せつけたゴズリングの軽薄なプレイボーイぶりとか、『酔いどれ詩人になるまえに』『その土曜日、7時58分』で、限られた時間のなかで存在感を放っていたマリサ・トメイが、凄まじいパワーで感情を爆発させたり(終盤で主人公にさり気なく中指を立てるところもステキだ)。でも、ジョン・キャロル・リンチなどは、『悲しみが乾くまで』の彼を思い出すとなにかもったいない気がしてしまう。

『50/50』 ジョナサン・レヴィン

タイトルは、ガンを宣告された27歳の主人公アダムの5年生存率を意味している。難病ものでありながら、いたずらに重く陰鬱になることもなく、お涙頂戴に陥ることもなく、非常に素晴らしい。

その要因のひとつはアダムのキャラクターだ。彼に扮するジョセフ・ゴードン=レヴィットの表情、身振り、台詞や間合いのとりかたなどが、堺雅人そっくりで、力むことなく等身大の愛すべきキャラクターを作り上げている。

それとドラマに散りばめられたユーモア。こういうシリアスな題材に、ドラマのバランスを崩すことなくユーモアを盛り込んでいくのはけっこう難しい。先週観たジョン・キャメロン・ミッチェルの『ラビット・ホール』は、そこで失敗していたが、こちらはキャラクターの造形とユーモアが絶妙のバランスを生み出している。

主人公を取り巻くセス・ローゲン、アナ・ケンドリック、ブライス・ダラス・ハワード、アンジェリカ・ヒューストン、フィリップ・ベイカー・ホールという顔ぶれもみないい味を出している。オススメ。そのうちレビューを書きます。

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