スサンネ・ビア 『真夜中のゆりかご』 レビュー



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緻密で巧妙なビア監督の話術とミステリーの融合

筆者ホームページ“crisscross”の方に、スサンネ・ビア監督の『真夜中のゆりかご』(14)のレビューをアップしました。脚本は、ビアとアナス・トーマス・イェンセンという不動のコンビ。キャストは、ニコライ・コスター=ワルドー、マリア・ボネヴィー、ウルリッヒ・トムセン、ニコライ・リー・コス、リッケ・メイ・アンデルセンという顔ぶれです。

レビューをお読みになりたい方は以下のリンクからどうぞ。

スサンネ・ビア 『真夜中のゆりかご』 レビュー

スサンネ・ビア 『未来を生きる君たちへ』 レビュー



Review

負の連鎖から生まれる復讐と自然、人間中心主義からの脱却

スサンネ・ビアの『ある愛の風景』『アフター・ウェディング』では、デンマークの日常とアフガニスタンの紛争地帯やインドのスラムが結びつけられていた。新作の『未来を生きる君たちへ』でも、デンマークの田舎町に暮らし、アフリカの難民キャンプに派遣される医師アントンを通して、異なる世界が結びつけられる。だが、ふたつの世界の位置づけには大きな違いがある。

前者ではそんな構成が、豊かで安定した社会と貧しく混沌とした社会を象徴し、物語の前提となっていた。しかしこの新作では、最初からそんな図式が崩れている。

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