『メランコリア』 劇場用パンフレット



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鬼才ラース・フォン・トリアー最新作!2月17日(金)ロードショー

『奇跡の海』や『ダンサー・イン・ザ・ダーク』にも心を激しく揺さぶられたが、フォン・トリアーがうつ病を体験してから作り上げた『アンチクライスト』と『メランコリア』には、単に心の病とみなされるだけのものではなく、渡辺哲夫が“生命の輝きそのもののような狂気”と表現するものに匹敵するような、これまでと異なる次元から人間と世界を見切っているような凄みがある。

『メランコリア』の劇場用パンフレットに「人間の在り方を原点から問い直す――鬼才トリアーの世界」というタイトルで作品評を書いております。筆者がいま関心を持っていることのど真ん中にくるような作品で、深く深く引き込まれました。『メランコリア』の試写室日記もお読みください。いろいろ参考になるかと思います。

キャストも素晴らしいです。特に女優陣。キルスティン・ダンストとシャルロット・ゲンズブールが対極の世界観を見事に体現しているうえに、シャーロット・ランプリングが少ない出番のなかで強烈な存在感を放っています。


ランプリングが演じているのは、ジャスティン(ダンスト)とクレア(ゲンズブール)の姉妹の母親ギャビー。第一部の結婚式で、未来に浮かれている男たちに対して、それを打ち砕くようなスピーチをするギャビーは、ジャスティンの本音を代弁しているともいえる。ジャスティンはそのスピーチのせいで気持ちがふさぐのではなく、本来の自分に目覚める、あるいは自分を偽っても仕方がないと割り切るというのが筆者の解釈。

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