トマス・ヴィンターベア 『光のほうへ』レビュー



Review

機能不全家族から生まれる負の連鎖を断ち切るために…

トマス・ヴィンターベアの新作『光のほうへ』は、デンマークの若手作家ヨナス・T・ベングトソンの小説『サブマリーノ 夭折の絆』(ACクリエイト刊、2011年5月31日)の映画化だ。

舞台はデンマークのコペンハーゲン。プロローグでは、主人公兄弟の少年時代の体験が描かれる。アルコール依存症の母親と暮らす兄弟は、育児放棄している母親に代わって年の離れた弟の面倒を見ているが、その弟はあまりにもあっけなく死んでしまう。

そして、大人になった兄弟それぞれの物語が綴られていく。彼らはいつからか別々の人生を歩むようになったらしい。兄は人付き合いを避けるように臨時宿泊施設に暮らし、怒りや苛立ちを酒で紛らしている。弟は男手ひとつで息子を育てているが、麻薬を断ち切ることができない。そんな兄弟は母親の死をきっかけに再会し、心を通わせようとするが…。

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