『コン・ティキ』 映画.com レビュー & 劇場用パンフレット

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ヘイエルダールの伝説の航海をいま映画化する意味とは

6月29日(土)から公開されているヨアヒム・ローニング&エスペン・サンドベリ監督の『コン・ティキ』に関する告知です。「映画.com」の6月19日更新の映画評枠に、「「人間中心主義を脱却した未来」を見据えた冒険映画」というタイトルのレビューを、さらに劇場用パンフレットに、「自然と人間の関係を問い直す伝説の航海」というタイトルのコラムを書いています。

ノルウェーの人類学者ヘイエルダールが成し遂げた伝説の航海には大いなるロマンがありますが、もしそれをリアルに再現しただけの映画であれば、筆者はそれほど心を動かされることはなかったでしょう。

ヘイエルダールがコン・ティキ号で大海原に乗り出した1947年から現在までの間に、自然と人間の関係は大きく変わりました。この映画は、そんな時間や変化を踏まえたうえで、伝説の航海を現代に再現していると思います。


告知のおまけとして、あまりにも飛躍しすぎた想像だったので、レビューやコラムに書かなかったことをひとつ。

ヘイエルダール自身がまとめた『コン・ティキ号探検記』を読んだのは大昔のことで、細かいことは忘れていましたが、映画を観ているうちに、特にスウェーデン人の民族誌学者ベングト・ダニエルソン(演じているのはグスタフ・スカルスガルド)の存在が気になりだし、そういえばこんな人物がいたとかすかな記憶がよみがえってきました。

特別なことをするわけではないのに、そこにいるだけで乗組員たちの精神的な支えになっているような存在です。この映画のベングトは、筆者の印象に残る言葉を口にし、どことなくヘイエルダールを導いているようにも見えます。そして、彼の髭面がコン・ティキ号の帆に描かれた太陽神の髭面に重ねられているようにも思えてきました。

それでは、「映画.com」の『コン・ティキ』レビューをお読みください。劇場で作品をご覧になられたら、ぜひパンフレットもお読みください。