『台北の朝、僕は恋をする』『キッズ・オールライト』『ザ・ファイター』試写

試写室日記

本日は試写を3本。

『台北の朝、僕は恋をする』 アーヴィン・チェン

アメリカに生まれ育ち、台湾を拠点に活動するアーヴィン・チェン監督作品。台北の街のなかを複数の登場人物たちが動き回り、絡み合っていく物語は、頭のなかで組み上げた構成を、実際の街や映像のなかにどう落とし込み、映画としてのリズムやダイナミズムを生み出すかが課題になる。この映画の場合は、まだ脚本を引きずっていて、映像に昇華されていないように見える。

『キッズ・オールライト』 リサ・チョロデンコ

チョロデンコ監督は、女のなかの男(あるいは男のなかの女)を意識しているところがあるが、この映画でアネット・ベニング演じるママが、完全にパパとして振る舞っているのには、そうした傾向とはまた別の意味が込められている。

『ザ・ファイター』 デヴィッド・O・ラッセル

クリスチャン・ベールとメリッサ・レオを筆頭に俳優陣がそれぞれに個性と実力を十分に発揮しているし、家族や労働者のコミュニティを軸にしたドラマも興味深いし、作品としても完成されていると思うのだが、ラッセルが監督しているとなると、どうしても彼がなにをやらかしているのかということに関心が向かってしまい、なんとなく物足りなく感じてしまう。『アメリカの災難』、『スリー・キングス』、『ハッカビーズ』など、ラッセルの場合は、自分で脚本を書かないと個性が発揮されないタイプなので、監督に徹した作品ではいたしかたないのだろう。