『オン・ザ・ロード』 『コン・ティキ』 試写
- 50年代, アメリカ, ウォルター・サレス, エスペン・サンドベリ, ジャック・ケルアック, トール・ヘイエルダール, ノルウェー, ブラジル, ヨアヒム・ローニング, 人類学, 映画監督, 自然, 風景
本日は試写を2本。
『オン・ザ・ロード』 ウォルター・サレス
『セントラル・ステーション』『ビハインド・ザ・サン』『モーターサイクル・ダイアリーズ』のウォルター・サレス監督が、ジャック・ケルアックの『オン・ザ・ロード』を映画化した。
その導入部はひとつのポイントになる。映画は、サルの父親の死のエピソードから始まる。『オン・ザ・ロード』の1957年刊行版は妻との離婚から始まる。父親の死から始まるのは、ケルアック自身が手を加える前のオリジナル版(『スクロール版オン・ザ・ロード』として刊行されている)だ。
サレスはオリジナル版のほうにだいぶインスパイアされているように見える。それが父親へのこだわりに表れている。
彼が世界的な名声を獲得した『セントラル・ステーション』は、少年が顔も知らない父親を探す物語だった。サレスはかつて「The Guardian」のインタビューで、その父親探しについて以下のように語っていた。
「ポルトガル語では、父(pai)と国(pais)を表す言葉はほとんど同じです。だから、父親を探すことは、国を探すことでもあるのです」
そんなサレスの独自の視点はこの『オン・ザ・ロード』にも引き継がれているが、どのように引き継がれているのかはあらためて書くことにしたい。
『コン・ティキ』 ヨアヒム・ローニング&エスペン・サンドベリ
ノルウェーの人類学者トール・ヘイエルダールが1947年に成し遂げた伝説の航海の映画化。
若い頃に、ヘイエルダールの『コン・ティキ号探検記』やシュリーマンの『古代への情熱』を読んで、周囲から戯言だと思われていたことを執念で現実に変えてしまった人類学者や考古学者に憧れた人は少なくないだろう。
しかし、この映画の魅力はそんなロマンだけではない。1947年から現在までの間に自然と人間の関係は大きく変化した。そこのところを踏まえたドラマや視点に心を動かされる。