『羅針盤は死者の手に』 『転山』 『ホーム』 試写

試写室日記

22日から始まるTIFF(東京国際映画祭)の上映作品を3本。

『羅針盤は死者の手に』 アルトゥーロ・ポンス

メキシコの新人監督アルトゥーロ・ポンスの長編第一作。主人公は、シカゴにいる兄と暮らすためになんとか国境を越えようとする13歳の少年チェンチョ。国境の手前で立ち往生していた彼は、馬車に乗った老人に拾われるが、老人はコンパスを握ったまま死んでしまう。そして少年が死者と旅を続けていると、様々な事情を抱えた人々がそこに乗り込んできて…。

ブニュエルの世界を想起させるような作品であり、マジック・リアリズム的な感性から紡ぎ出される奇妙な物語ともいえる。評価は分かれるだろうが筆者は面白かった。馬車がジェリコーの『メデューズ号の筏』を思わせる世界になり、堂々巡りを繰り返すこの乗り物がメキシコの縮図に見えてくる。

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