『BIUTIFUL ビューティフル』試写

試写室日記

本日は試写を1本。

『BIUTIFUL ビューティフル』 アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ

『アモーレス・ペロス』『21g [21グラム]』のレビュー、あるいはイニャリトゥとコンビを組んでいた脚本家ギジェルモ・アリアガの監督作『あの日、欲望の大地で』のレビューで書いてきたように、複数の物語を断片化し、時間軸を操作し、再構成するようなイニャリトゥのスタイルにはずっと違和感を覚えてきた。

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今週末公開オススメ映画リスト2011/05/05

週刊オススメ映画リスト

今回は『4月の涙』と『昼間から呑む』の2本です。

『4月の涙』 アク・ロウヒミエス

クラウス・ハロ監督の『ヤコブへの手紙』といい、アク・ロウヒミエス監督のこの『4月の涙』といい、フィンランド映画は侮れない。「同じ国民が敵味方に分かれて戦ったフィンランド内戦」とか「敵同士の准士官と女性兵士の許されざる愛」といった表現から想像されるドラマとは異なる次元から歴史が読み直されている。月刊「宝島」2011年6月号の連載コラム「試写室の咳払い」でこの作品を取り上げています。

『4月の涙』 5月7日(土)より、シネマート新宿、銀座シネパトスほか全国順次公開

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今週末公開オススメ映画リスト2011/04/28+α

週刊オススメ映画リスト

今回は『四つのいのち』、『キッズ・オールライト』、『生き残るための3つの取引』の3本です。

おまけとして『ミスター・ノーバディ』と『ザ・ホークス ハワード・ヒューズを売った男』の短いコメントをつけました。

 

『四つのいのち』 ミケランジェロ・フランマルティーノ

舞台は南イタリア、カラブリア州の山深い地域。この監督のスタイルは非常にユニークだ。フィクションが散りばめられているのに、いつの間にかフィールド・ワークに基づくドキュメンタリーを観ているような錯覚におちいり、静謐な映像世界に引き込まれている。「CDジャーナル」2011年5月号にこの作品のレビューを書いています。

ちなみに監督はプレスのインタビューでこんな発言をしている。「カメラを気にしない動物たちは、フィクションとドキュメンタリーの垣根を越えたいという、私が映画を作るときにいつも抱いている願望を果たさせてくれました」

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Jana Winderen 『Energy Field』 レビュー

Review

音の世界に生きることへの想像力を喚起するサウンドスケープ

ノルウェー出身のJana Winderenは、90年代前半から主にサウンド・インスタレーションの分野で活動しているサウンド・アーティスト、プロデューサー、キュレーター、ディレクターだ。

彼女は4年に渡ってグリーンランド、アイスランド、ノルウェー、バレンツ海を踏査し、氷河のクレバスの深部やフィヨルド、外洋でフィールド・レコーディングを行ってきた。Touchレーベルからリリースされたアルバム『Energy Field』は、その音源をもとに作られた作品で、<Aquaculture 17:51>、<Isolation / Measurement 11:41>、<Sense of Latent Power 20:19>の3曲が収められている。

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Energy Field

そんなフィールド・レコーディングなかでも特に興味深いのが、ハイドロフォンを使って採取される海中の音だろう。彼女はできるだけ深い場所で音を採取しようと試み、最近ではケーブルの長さが90メートルにもなっているという。

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『スカイライン―征服―』 『光のほうへ』 『プッチーニの愛人』試写

試写室日記

本日は試写を3本。

『スカイライン―征服―』 ストラウス兄弟

ある日突然はじまったエイリアンによる地球侵略。圧倒的な力を持つエイリアンの前に、主人公である普通の人々はなすすべもない。昆虫型、クラゲ型、深海魚を参考にしたクリーチャーたちに捕獲されていく人々を見ながら、なんとなくドナ・ハートとロバート・W・サスマンの『ヒトは食べられて進化した』(化学同人、2007年)のことを思い出していた。人類の祖先は、狩る者ではなく、トラやライオン、クマ、オオカミなどの肉食動物に狩られる者だった。この映画は、そういう学説を意識して作っているわけではないと思うが…。

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