『80年代アメリカ映画100』ついに完成!



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現在から見直すアメリカ80年代
2011年12月22日発売

今年、作業を進めてきた大きなお仕事といえば、『80年代アメリカ映画100』と『90年代アメリカ映画100』(芸術新聞社)の2冊。2010年12月に刊行された『ゼロ年代アメリカ映画100』の姉妹編です。『ゼロ年代~』ではコラムの執筆者のひとりでしたが、今回は編集にも参加させていただきました。

  • 『80年代アメリカ映画100』(2011年12月22日発売)
    [監修]北沢夏音 [主編]渡部幻 [編集]大場正明、佐野亨
  • 『90年代アメリカ映画100』(2012年発売予定)
    [監修]大場正明 [主編]佐野亨 [編集]北沢夏音、渡部幻

という布陣です。

そしてまず『80年代アメリカ映画100』が発売になりました。豪華執筆陣や作品のラインナップについては以下リンクでチェックしていただければと思います。
芸術新聞社 80年代アメリカ映画100

『80年代アメリカ映画100』

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『RIVER』 『NINIFUNI』 試写



試写室日記

本日は試写を2本。

『RIVER』 廣木隆一

秋葉原の無差別殺傷事件で恋人を失ったヒロインが、秋葉原で恋人の痕跡をたどり、様々な人物との出会いを通して次第に立ち直り、未来に踏み出していく。

秋葉原の事件を題材にした作品で筆者が思い出すのは、佐々木友輔監督の『夢ばかり、眠りはない』だ。あの映画では、事件へのこだわりや、それを題材にする必然性が感じられたし、秋葉原から取手の郊外へと視点が移行していく展開にも説得力があった。

この『RIVER』の場合は、その必然性が弱い。事件は、秋葉原を舞台にした世代論的なドラマを描くためのきっかけにとどまっている。どうしてもこの事件でなければ表現できない喪失と再生の物語になってはいない。それを東日本大震災の被災地の光景と接続してしまうと、さらに焦点がぼやける。

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ベント・ハーメル 『クリスマスのその夜に』 レビュー



Review

人生の様々な局面をくぐり抜け、新たな生命の誕生が祝福される

『キッチン・ストーリー』や『酔いどれ詩人になるまえに』のベント・ハーメル監督の新作は、ノルウェーの人気作家レヴィ・ヘンリクセンの短編集の映画化だ。『クリスマスのその夜に』では、クリスマス・イヴを迎えたノルウェーの田舎町を舞台に、複数の登場人物の複数の物語が交差しながら展開していく。

結婚生活が破綻し、妻に家を追い出されたパウルは、サンタクロースに変装して、妻と新しい恋人と子供たちがイヴを過ごすかつての我が家に忍び込み、なんとか子供たちにプレゼントを渡そうとする。

なぜか一人で町をうろつく少年トマスは、上級生の少女ビントゥに声をかけられる。イスラム教徒だからクリスマスを祝わないというビントゥに、トマスも「うちもサンタを信じていない」と小さな嘘をつき、彼女の家に立ち寄ることになる。

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アルトゥーロ・ポンス監督+スタッフ・インタビュー

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スペインから故郷の現実の生活を見て、マジック・リアリズムがあると気づいた

『羅針盤は死者の手に』の監督、音楽、衣装、プロデューサーに取材でお伝えしたインタビューの記事がTIFFのサイトにアップされました。メキシコ出身でスペインを拠点に活動するアルトゥーロ・ポンス監督、監督夫人で衣装を手がけたアンナ・リベラ、ハーバード大学に在籍し、作曲家として受賞歴もあるエドガル・バロソ、主にドキュメンタリーのプロデュースを手がけ、自ら監督もするオスカル・ラミレス・ゴンサレスというスタッフ4者との賑やかな対話です。

特にポンス監督の最後の発言には、彼の独自の視点や人間性が表れているように思いました。

インタビューは↓こちらからどうぞ。
【公式インタビュー】コンペティション『羅針盤は死者の手に』

マイケル・ウィンターボトム・インタビュー

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現代のインドに舞台を移せば、トマス・ハーディの世界がダイナミックに展開できると思った

マイケル・ウィンターボトム監督に取材でお伝えしたインタビューの記事がTIFFのサイトにアップされました。三度目の映画化となるハーディの作品のことから、ヌスラット・ファテ・アリ・ハーンの曲も使われている音楽のことまでいろいろ質問しています。

なかでも筆者が特に興味を覚えたのは、ツーリズムやポストコロニアリズムに関する発言ですね。ウィンターボトムがミシェル・ウエルベックの『プラットフォーム』の映画化を切望していたことを覚えていて、この小説を読んでいる方にはかなり興味深い発言なのではないかと思います。

インタビューは↓こちらからどうぞ。
【公式インタビュー】コンペティション『トリシュナ』