『ラブ・アゲイン』 『50/50』試写

試写室日記

本日は試写を2本。

『ラブ・アゲイン』 グレン・フィカーラ、ジョン・レクア

スティーブ・カレル、ライアン・ゴズリング、ジュリアン・ムーア、エマ・ストーン、ジョン・キャロル・リンチ、マリサ・トメイ、ケビン・ベーコンというなんとも贅沢なキャスト。

スタイルとしては“足し算”のコメディといえる。25年連れ添った妻からいきなり離婚を切り出され、一人暮らしを始めた主人公キャルが、バーで出会ったプレイボーイのジェイコブからレクチャーを受け、自信を取り戻そうとする。というのが軸になる物語だが、そこに他の登場人物が絡む様々な伏線が加算されていき、終盤で全員が意外なかたちで勢揃いする。

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『ゴモラ』のすすめ+ロベルト・サヴィアーノ

News

イタリアの歴史と結びついた“カモッラ”の軌跡を頭に入れて

ただいま発売中の「CDジャーナル」2011年10月号の映画レビューのページで筆者が取り上げているのは、マッテオ・ガッローネ監督のイタリア映画『ゴモラ』(第61回カンヌ国際映画祭グランプリ受賞、第21回ヨーロッパ映画賞5部門[作品賞、監督賞、主演男優賞、脚本賞、撮影賞]受賞)。ナポリを拠点にする巨大な犯罪組織“カモッラ”の実態をリアルに描き出した作品だが、そのレビューを補足するようなことを書いておきたい。

この映画の原作は、作家/ジャーナリストのロベルト・サヴィアーノが自らカモッラに潜入して書き上げたノンフィクション・ノヴェル『死都ゴモラ』だ。映画はこの原作から5つのエピソードを選び出し、脚色し、絡み合わせていく。そのためカモッラのいまが浮き彫りにされるが、レビューではあえてその背景に注目している。

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イエジー・スコリモフスキ 『エッセンシャル・キリング』 レビュー

Review

故郷喪失者はどこでもない場所で、動物性への帰郷を果たす

17年ぶりに監督した『アンナと過ごした4日間』(08)で見事な復活を遂げたポーランドの鬼才イエジー・スコリモフスキ。待望の新作はアフガニスタンにおける戦闘から始まり、最初は9・11以後のテロとの戦いを描く作品のように見える。

バズーカ砲で米兵を吹き飛ばした主人公は、米軍に拘束されて捕虜になり、拷問を受け、軍用機と護送車で移送される。ところが、深夜の山道で事故が起き、彼だけが逃走する。

この逃亡劇によって映画の世界は大きく変化していく。そんな流れは筆者に、ジム・ジャームッシュの『ダウン・バイ・ロー』を想起させる。この映画の三部構成は実によくできていた。

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『コンテイジョン』 『指輪をはめたい』 試写

試写室日記

本日は試写を2本。

『コンテイジョン』 スティーヴン・ソダーバーグ

パンデミックを題材にしたソダーバーグの新作。マリオン・コティヤール、マット・デイモン、ローレンス・フィッシュバーン、ジュード・ロウ、グウィネス・パルトロウ、ケイト・ウィンスレットという豪華キャスト。

個人的には、この作品に限らず、パンデミックとかウイルスという題材と映画の相性はあまりよくないと思っている。見えないものをなんとか可視化し、動きとして表現しなければ緊張が持続しないからだ。だからこの映画も、見えないものから微妙に視点をずらしながら、可視化していく。

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『ウィンターズ・ボーン』のすすめ

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ヒルビリーに対する先入観を拭い去り、神話的な世界を切り拓く

ただいま発売中の月刊「宝島」2011年11月号(10月25日発売)の連載コラムで取り上げているのは、新鋭女性監督デブラ・グラニックの長編第2作『ウィンターズ・ボーン』(10月29日公開)だが、この映画にはとにかくはまった。観る前からそういう予感はしていた。単に多くの賞を受賞しているだけではなく、評価のされ方が、筆者の大好きなコートニー・ハントの『フローズン・リバー』とよく似ていたからだ。

『フローズン・リバー』は、サンダンス映画祭でグランプリ受賞し、アカデミー賞で主演女優賞とオリジナル脚本賞にノミネートされた。『ウィンターズ・ボーン』は、サンダンス映画祭でグランプリと脚本賞を受賞し、アカデミー賞で作品賞、主演女優賞、助演男優賞、脚色賞の4部門にノミネートされた。そこで、おそらく骨太な作品で、しかも女性監督と女優の共同作業がしっかりとしたキャラクターを生み出しているのではないかと勝手に想像していたのだが、実際の作品は期待以上だった。

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