『幸せへのキセキ』 『少年は残酷な弓を射る』 試写

試写室日記

本日は試写を2本。

『幸せへのキセキ』 キャメロン・クロウ

原作は、イギリス人のジャーナリスト、ベンジャミン・ミーが書いた『幸せへのキセキ~動物園を買った家族の物語』(興陽館刊)。著者とその家族が、リスクを背負って荒廃した動物園を買い取り、動物たちを救い、喪失を乗り越えて新たな生活に踏み出していく実話だ。

これまでずっとオリジナルの脚本で作品を作ってきたキャメロン・クロウにとっては、はじめての原作モノということになるが、プロダクション・ノートに個人的に非常に興味をそそられる記述があった。

クロウは、売れっ子のマット・デイモンにベンジャミン役をオファーするにあたって、「脚本と一緒に、1時間近い音楽のセレクションと、『ローカル・ヒーロー/夢に生きた男』(83)のソフトを送る」というユニークな方法をとったというのだ。

続きを読む

80年代イギリス映画を振り返る その一

トピックス

先月のこと、11月刊行予定の『80年代アメリカ映画100』(芸術新聞社)の原稿絡みで資料をひっくり返しているときに、行方不明になっていたアレックス・コックスの『レポマン』のパンフが出てきた。

そこに書いた原稿はまだHPにアップしていなかった。『レポマン』の作品評とかではなく、80年代中頃のイギリス映画の状況。いずれ整理してHPにアップするつもりだが、ひとまずブログで公開。いろいろ甦ってくるものがある。懐かしい。

イギリス映画界期待の新星

■■転換期にあるイギリス映画界■■

イギリス映画界は、長年にわたって衰退の一途をたどっている。映画館は年々減少し、イギリス映画自体も次々と流れ込むアメリカ映画の攻勢に押しまくられているためにその製作もままならず、そればかりか、アメリカ資本による支配が着実に浸透し、イギリス映画関係者がアメリカ映画のクルーとして活躍するというのも珍しいことではないというのが、昨今のイギリス映画界の実情である。

続きを読む