『ラブ・アゲイン』 『50/50』試写

試写室日記

本日は試写を2本。

『ラブ・アゲイン』 グレン・フィカーラ、ジョン・レクア

スティーブ・カレル、ライアン・ゴズリング、ジュリアン・ムーア、エマ・ストーン、ジョン・キャロル・リンチ、マリサ・トメイ、ケビン・ベーコンというなんとも贅沢なキャスト。

スタイルとしては“足し算”のコメディといえる。25年連れ添った妻からいきなり離婚を切り出され、一人暮らしを始めた主人公キャルが、バーで出会ったプレイボーイのジェイコブからレクチャーを受け、自信を取り戻そうとする。というのが軸になる物語だが、そこに他の登場人物が絡む様々な伏線が加算されていき、終盤で全員が意外なかたちで勢揃いする。

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『コンテイジョン』 『指輪をはめたい』 試写

試写室日記

本日は試写を2本。

『コンテイジョン』 スティーヴン・ソダーバーグ

パンデミックを題材にしたソダーバーグの新作。マリオン・コティヤール、マット・デイモン、ローレンス・フィッシュバーン、ジュード・ロウ、グウィネス・パルトロウ、ケイト・ウィンスレットという豪華キャスト。

個人的には、この作品に限らず、パンデミックとかウイルスという題材と映画の相性はあまりよくないと思っている。見えないものをなんとか可視化し、動きとして表現しなければ緊張が持続しないからだ。だからこの映画も、見えないものから微妙に視点をずらしながら、可視化していく。

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『Samdhi』 by Rudresh Mahanthappa

Listning

エレクトリック・ミュージックとの境界に“マジックアワー”を探る

インド系アメリカ人のサックス奏者Rudresh Mahanthappaの多面的な活動については、「Rudresh Mahanthappaが切り拓くハイブリッドな世界」に書いたが、その最後のところで少しだけ触れたニューアルバム『Samdhi』がリリースされている。このプロジェクトは、2008年にMahanthappaがグッゲンハイム奨学金を獲得したことがきっかけで生まれ、これまでとは編成が異なるバンドが結成され、このアルバムに結実した。

メンバーと楽器の構成は、Mahanthappa(アルトサックス、ラップトップ)、David Gilmore(エレクトリック・ギター)、Rich Brown(エレクトリック・ベース)、Damion Reid(ドラムス)、”Anand” Anatha Krishnan(ムリダンガム、カンジーラ)。↓今回は自身の音楽のルーツとして、よりファンキーでエレクトリックな音楽、グローバー・ワシントンJr.やデヴィッド・サンボーンやブレッカー・ブラザーズの名前を挙げているところが、意外でもあり新鮮でもある。

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『ウィンターズ・ボーン』のすすめ

News

ヒルビリーに対する先入観を拭い去り、神話的な世界を切り拓く

ただいま発売中の月刊「宝島」2011年11月号(10月25日発売)の連載コラムで取り上げているのは、新鋭女性監督デブラ・グラニックの長編第2作『ウィンターズ・ボーン』(10月29日公開)だが、この映画にはとにかくはまった。観る前からそういう予感はしていた。単に多くの賞を受賞しているだけではなく、評価のされ方が、筆者の大好きなコートニー・ハントの『フローズン・リバー』とよく似ていたからだ。

『フローズン・リバー』は、サンダンス映画祭でグランプリ受賞し、アカデミー賞で主演女優賞とオリジナル脚本賞にノミネートされた。『ウィンターズ・ボーン』は、サンダンス映画祭でグランプリと脚本賞を受賞し、アカデミー賞で作品賞、主演女優賞、助演男優賞、脚色賞の4部門にノミネートされた。そこで、おそらく骨太な作品で、しかも女性監督と女優の共同作業がしっかりとしたキャラクターを生み出しているのではないかと勝手に想像していたのだが、実際の作品は期待以上だった。

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80年代イギリス映画を振り返る その一

トピックス

先月のこと、11月刊行予定の『80年代アメリカ映画100』(芸術新聞社)の原稿絡みで資料をひっくり返しているときに、行方不明になっていたアレックス・コックスの『レポマン』のパンフが出てきた。

そこに書いた原稿はまだHPにアップしていなかった。『レポマン』の作品評とかではなく、80年代中頃のイギリス映画の状況。いずれ整理してHPにアップするつもりだが、ひとまずブログで公開。いろいろ甦ってくるものがある。懐かしい。

イギリス映画界期待の新星

■■転換期にあるイギリス映画界■■

イギリス映画界は、長年にわたって衰退の一途をたどっている。映画館は年々減少し、イギリス映画自体も次々と流れ込むアメリカ映画の攻勢に押しまくられているためにその製作もままならず、そればかりか、アメリカ資本による支配が着実に浸透し、イギリス映画関係者がアメリカ映画のクルーとして活躍するというのも珍しいことではないというのが、昨今のイギリス映画界の実情である。

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