アンドレイ・ズビャギンツェフ 『裁かれるは善人のみ』 記事

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ロシアの苛烈な現実を描き、さらに神話の域へと掘り下げる映画

ニューズウィーク日本版のコラム「映画の境界線」の第7回(10月16日更新)で、ロシアの異才アンドレイ・ズビャギンツェフ監督の『裁かれるは善人のみ』(14)を取り上げました。『父、帰る』(03)、『ヴェラの祈り』(07)、『エレナの惑い』(11)につづく4作目の長編になります。

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ロシアの苛烈な現実を描き、さらに神話の域へと掘り下げる映画|『裁かれるは善人のみ』

パトリシオ・グスマン 『光のノスタルジア』 『真珠のボタン』 記事



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数々の映画祭で絶賛された、南米ドキュメンタリーの巨匠の2本の新作

ニューズウィーク日本版のコラム「映画の境界線」の第6回(10月2日更新)で、チリ出身のパトリシオ・グスマン監督の2本のドキュメンタリー『光のノスタルジア』(10)と『真珠のボタン』(15)を取り上げました。

チリ最北部のアタカマ砂漠と最南端の西パタゴニアというまったく対照的な土地を舞台に、チリの過去や歴史が斬新なアプローチで描き出されます。コラムをお読みになりたい方は以下のリンクからどうぞ。

数々の映画祭で絶賛された、南米ドキュメンタリーの巨匠の2本の新作|『光のノスタルジア』『真珠のボタン』

ポン・ジュノ 『スノーピアサー』 レビュー

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テクノロジーに依存した閉ざされた世界がたどり着く場所

韓国の異才ポン・ジュノは、『殺人の追憶』『グエムル-漢江の怪物-』『母なる証明』といった作品で、実際の連続殺人事件や突然変異で生まれた怪物の背後に北の脅威や軍事政権、韓米同盟などを見据え、巧妙に映し出してきた。

この監督のそんな洞察力や想像力は、海外の大舞台でも通用するのか。フランスのコミックを大胆に脚色し、国際的な豪華キャストを起用した新作『スノーピアサー』にその答えがある。

地球温暖化を防ぐために化学薬品が撒かれた結果、新たな氷河期に突入した地球では、大企業が製造し、大陸を結んで走り続ける列車“スノーピアサー”だけが、残された人類の唯一の生存場所となっている。

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ウォルター・サレス 『オン・ザ・ロード』 レビュー

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「彼」の内面が浮き彫りにされた映画『オン・ザ・ロード』の世界

ウォルター・サレス監督の『オン・ザ・ロード』は、1947年のニューヨークから始まる。1947年とは、アメリカの外交政策立案者だったジョージ・F・ケナンの論文「ソ連の行動の源泉」が発表され、冷戦における封じ込め政策が形作られる時期にあたる。その政策によってアメリカに全体主義的な風潮が広がり、家族や個人にも大きな影響を及ぼした。

ステファニー・クーンツの『家族という神話』では、それが以下のように表現されている。

冷戦下の心理的不安感が、家庭生活におけるセクシュアリティの強化や商業主義社会に対する不安と混じり合った結果、ある専門家がジョージ・F・ケナンの対ソ封じ込め政策の家庭版と呼ぶ状況を生み出したのである。絶えず警戒を怠らない母親たちと「ノーマルな」家庭とが、国家転覆を企む者への防衛の「最前線」ということになり、反共主義者たちは、ノーマルではない家庭や性行動を国家反逆を目的とした犯罪とみなした。FBIやその他の政府機関が、破壊活動分子の調査という名目で、前例のない国家による個人のプライバシーの侵害を行った

この映画にも、反共主義者がテレビを通してプロパガンダを行っている様子が描かれている。もちろんそれは主人公たちとも無関係ではない。なぜなら、「ノーマルでない家庭や性行動」は、共産主義者と同様の反逆とみなされていたからだ。あるいは、そこまで疎外されていたからこそ、自由を求める彼らの感性はいっそう研ぎ澄まされ、ビート文学が誕生したともいえる。

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ジェフ・ニコルズ 『MUD‐マッド‐』 レビュー

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サザン・ゴシック、少年のイニシエーション、そして打ちひしがれた男たちの再生

監督第2作の『テイク・シェルター』(11)で日本でも認知されるようになったジェフ・ニコルズは、デビュー当時のあるインタビューで大学時代にコンテンポラリーな南部作家に傾倒していたことに触れ、ラリー・ブラウン、ハリー・クルーズ、コーマック・マッカーシーの名前を挙げていた。

新作『MUD‐マッド‐』(12)は、南部で培われた“サザン・ゴシック”というナラティブ(物語)への愛着が凝縮されたような映画だが、興味深いのはこの作品に続くように、デヴィッド・ゴードン・グリーンや監督もこなすジェームズ・フランコが、それぞれラリー・ブラウンとコーマック・マッカーシーの小説を映画化した『ジョー(原題)』(13)や『チャイルド・オブ・ゴッド(原題)』(13)を発表していることだ。サザン・ゴシックは隠れたトレンドになっているのかもしれない。

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